INTERVIER

先輩移住者の暮らし

医師
佐藤 誠さん
(千葉県出身/平成26年に移住)

日本海に沈む夕日がきれいで浜田に来ました。

日本海に沈む夕日がきれいで浜田に来ました。

  • なぜ国保診療所で働くことを希望したのですか?

    私は千葉県の出身で、もともと救急医療をしたいと思って大学に入りました。
    しかし在学中に、救急医療で患者さんに集中治療をするのも重要ですが、そのような患者さんを作らない予防も同じように重要だと感じました。
    保健所などで働くことも考えましたが、臨床が楽しくさらに臨床もいろいろな科がすべて面白かった。
    そんな中で地域の病院で働きながら、予防にも力を入れてきた先人がいたことを学生時代に知りました。 なんとかいろいろな科を見ながら予防もできること、今では総合診療という言葉がありましたが、私の大学時代にはそのような言葉が無く、本当にこんなことできるのかと思っていました。
    その後不安なまま研修に進みましたが、研修医のころに実際に地域の診療所、病院で地域で起きている健康問題にすべて対応しながら予防も行っている医師のもとで勉強する機会があり、 自分もそのような医師になりたいと考えました。
    詳しくはしまね総合診療センターのホームページにインタビュー記事があるので読んでいただければ嬉しいです。
    しまね総合診療センターWebサイト

    そうして私と妻で日本プライマリ・ケア連合学会認定の家庭医療専門医になるために、5つの県で勤務しましたが、専門医になりようやくスタート地点に立った時に、じっくりと地域の診療所で地域全体をみる地域医療に従事したいと思いました。
  • なぜ浜田を選んだのでしょうか?

    正直なところをいうと、全国どこでもよかったのですが、勤務先を選ぶにあたって2つ条件がありました。
    1つ目は予防もしたかったので、保健師と協働したい。公務員である保健師たちと協働するなら公務員になって国保診療所で働きたいと思っていました。
    「北海道 医師募集」「青森県 医師募集」と沖縄県まで検索をしますと、いくつかめぼしいものが見つかりまして、その中の一つが島根県浜田市だったのです。
    もう1つの条件は、国保診療所と自治体の対立があり医師がやめていくというケースを複数耳にしていました。
    そのため、国保診療所のグループ診療をして複数の医師がいれば、自治体と対立しても大丈夫ではないかと思っていました。

    その条件を満たしたのが、浜田市とあと一か所しかなく、両者を見に行き、結果的にこちらに決めました。
    決め手はいろいろあるのですが、日本海に沈む夕日がきれいだったこと、海が好きだったことはかなり影響しています。
    前任地は西側に山があって夕日を数年間見られなかったのです。

    実際働いてみると、自治体の中の医療機関で働くなかで、民間医療機関で働いていたころには想像もしなかったことも起こりました。
    グループ診療ならではの大変なこともありました。
    ただ、グループでやっているから助け合えることもたくさんあります。
    先日も濃厚接触者になってしまいましたが、なんとか診療を助け合って休診を作らず乗り越えています。
    夏休みを交代で1週間ずつとるというのもグループ診療ならではだと思います。
    一方で自治体のみなさんに応援してもらっているなと思う瞬間もあります。
    例えば私たちは核家族でIターンで地域医療をしていますが、子育てがしやすいように、勤務時間をフレックスタイム制で決められるようにしていただきました。
    医師募集のためにこのサイトを作ってもらっているのもそのうちの一つです。
    また、自治体には健康に関するデータが山程あります。それらを分析しこれからの健康政策に活かすなど、民間医療機関ではできないような経験もしました。
  • 医師の働き方として都会と地方の違いは?

    私は医師として大きな都会で働いた経験が少ないので単純に比較はできませんが、医療のリソースがないというのは大きな違いだと思います。
    現在私が働いている弥栄診療所は、地域にここしか医療機関がないので地域でおきた健康問題のほとんどが持ち込まれます。
    診療所で診ないとだれも診てくれないということです。
    診療所では到底無理と思うような疾患もたまにやってきますが、どんな時もまず診療するということは必ずしています。
    また、診療所に来る人は病気を持っている人たちの一部という有名な研究があります。
    総合診療ではコミュニティを意識しながら診療をしますが、
    そのコミュニティがわかりやすい(例えば弥栄診療所なら弥栄町全体)のが一番のちがいと思います。
  • 余暇の過ごし方は?

    休日や夜間は当番を決めています。
    当番でないときは、家族で市内の海や山にでかけたり、広島まで買い物やサッカーを見に行ったりしています。
    ランニングが好きなので市内を暇があれば走っています。松江や益田の大会にでたりもしています。
    浜田市内で夏は海水浴、冬はスキーができます。夜は星空が市内でもきれいで天体観測もできます。
    私の家は海から100mくらいのところにあるので、子どもたちと釣りをしてそのまま夕飯に食べたりもしています。
    できないことは映画館に行くことくらいかと思っていますが、ネットで見たい映画を見ています。
    当番のときも診療所に2時間くらいで帰れるところ位を目処にしていますので、基本的には同じように過ごしていますが、お酒を飲まないで我慢しています。おかげで体型を維持できています。
  • 実際の浜田市の印象は?

    私は浜田の中心地付近に住んで、弥栄に通う生活をしています。
    排他的なところはそれほどなく、町内会でも声をかけてもらったりしています。
    石見弁は喋れませんが理解するのにはそれほど難しくないです。
    地域や子どもの小学校では「〇〇くんのお父さん」としての存在です。
    PTAの役員などをすると他の親御さんと仲良くなれますよ。

    生活するのには困らない程度に買い物もでき、だからといって消費の殿堂のような大きすぎるショッピングセンターも無い。
    身の丈に合った街の雰囲気が私は好きです。
    石州瓦の均一の取れた町並みを走っていると、小さな小路があったりしてそこを入ると街の人の生活が見えるような、ちょっとごちゃごちゃしたところも気に入っています。
    浜田の人に怒られるかもしれませんが、あまり何も無いのがここのとっても良いところかと思っています。
    海と空と山と少しの家というかんじでしょうか?

    私のお気に入りスポットは、①日本海に沈む夕日、②浜田城址、③石州瓦の町並みです
  • 浜田市へ医師として来ていただける方へ、一言

    地域全体を見る地域医療はとても楽しいです。
    ぜひ、私達と一緒に地域医療をやりませんか?
Q&A
  • Q
    保育園、小学校、中学校の様子は?
    我が家の子ども達は、保育園にも幼稚園にもお世話になりました。
    待機児童問題もなく、家族にとって適切な時期から入園することができます。
    小中学校は私立はないので、校区の公立に通います。
    我が家の子ども達が通った小学校は一学年が20人〜30人程度。
    担任の先生をはじめ多くの先生が児童一人一人のことを分かってくださっていて、その子に応じた指導をしてくださいました。
  • Q
    中学受験のない浜田の子ども達はどんな日常を過ごしているの?
    私自身は東京育ちで、小学校生活の半分は中学受験に費やしました。
    それで得られたことも大きかったですが、
    我が家の子ども達は全然違う日常を過ごしています。
    長男は小3〜小6の間サッカーチームに入り、仲間と努力すること等、楽しくたくさんの経験を積ませていただきました。
    次男は興味のあることにじっくり取り組むタイプ。世界地図をずーっと眺めていたりします。
  • Q
    高校の様子は?
    自宅からバス等で公立高校や私立高校に通えます。
    地元の高校から毎年数名が医学部に進学しています。

移住前後の変化について
  • 移住前
    住所 東京都
    職業 医師
  • 移住後
    住所 浜田市
    職業 医師
    通勤時間 30分